恥じらうガンジーＪＡＰＡＮ

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『ミナモの月１　覡童覚醒』　　　　　文：葉原鉄　　画：こけん


　　　　かつて崩壊した世界ですべてを失った少年が

　　　　かけがえのないものを手に入れて、また　　れる物語――


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あらすじ

※一巻のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
※成人向けの内容が含まれます。未成年の方はご注意ください。
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巨大隕石ラゴウの衝突が地球のすべてを変えた。
人類はかつての繁栄を失い、異形の新生命に脅かされる日々を過ごしていた。
隕石から生じたとされる怪物――隕獣。
人を食らい、苗床とし、増殖していく地球外生命体。
　
移動娼館《虹の館》は隕獣の襲撃を受けていたところを、奇妙な男に救われる。
ボロマント、蓬髪、ヒビ割れたような顔、暗い目、怪物じみた能力。
彼が娼婦に求めるのは、快楽ではなく地球の歴史。
過去を語る娼婦ムネモシュネは、代価として同様に求める――彼自身の過去を。
そうして彼が語りだしたのは、瑞々しくも毒々しい青春の物語であった。

幼くして両親を隕獣に殺され、みずからも深い傷を負った少年クロト。
彼は偶然にもクレミノ郷の鎮守神ミナモに命を救われ、彼女に仕える覡童となる。
旧文明の地下遺跡に住まいながら姿も見せない謎の神は、クロトに異能の力を与えた。
鬼眼通――遠方も過去も見通し、他者を石に変える異能力。
その力を使いこなして、郷の者を見返したい。少年は心からそう願っていた。
不気味な子供だと郷の民に疎まれ、悪童カンジと喧嘩を繰り返す十歳の日々。
郷のすべてが憎くて、ふて腐れていた。
唯一の例外はカンジの姉、心優しいカオリだけであったが――
あるとき、彼女はマガニシキ（隕獣ピュトン）の住まうヘビ山に消えてしまう。
クロトはカオリの親友、知識欲旺盛で小生意気なマイとともにビ山に踏みこんだ。
そこで目撃する――芽生えはじめた鬼眼通の力で、カオリの秘密を。
山小屋に匿った得体の知れぬ男に身も心も籠絡され、若い肢体を弄ばれる様を。
衝撃を受けるクロト。幼い初恋が、脆くも崩れ去っていく。
だが事態はそれだけには収まらない。
男は鬼眼通で覗かれていることに気づき、クロトとマイを追いかけてくる。
彼は隕獣ピュトンと融合を果たした《契約者》であった。
鬼眼通と機転によって一矢報いるも、力及ばず追い詰められていく。
それを救ったのは、ネオ・パーシェスと名乗る黒甲の男だった。
彼は対隕獣タクティカルスーツ《アキレスユニット》の力で契約者をたやすく屠る。
流浪の便利屋《イカロ屋》の社員であるというネオに、クロトは強い憧憬を抱いた。
自分もいつか、こんな風になりたいと。

その後、クロトはピュトンに指を噛みちぎられたマイを治療するため、
かつての自分とおなじように地下遺跡のミナモに頼ることにした。
そこではじめて彼女の姿を目にする。
自分と大差ない年頃――に、見える、美しい少女だった。

それから五年の時が経つ。
クロト、十五歳。郷に本拠を置いたイカロ屋に就職。
覡童としての務めを果たすかたわら、アキレス装着者として郷を守る任務に就く。
ふてくされていた頃の彼はもういない。
任務を通じて郷に打ち解けることができた。彼を蔑む者は既にすくない。
マイとは気が付くと腐れ縁に。カンジとはライバル関係に。
かつて恋したカオリは、憧れの兄貴分であるネオと交際している。
だがクロトの想いはすでに、幼いころ自分を救ってくれた神に向けられていた。
そんななか、ミナモはかつて失った力を取り戻すための鍵をクロトの肉体に見出す。
精液に含まれる《ピュア・ミュール》を摂取するため、彼女はクロトに快楽を与えていく。
ピュア・ミュールの作用により肌と目が異色化し、手足は触手に変容する。
その姿を見ても、なおクロトは彼女を求めずにはいられなかった。
ミナモもまた、健気な覡童に心をほだされていく。

順風満帆の青春が続くかと思われた。
着実に才能を開花させて、ネオには対等のライバルとすら認められた。
ネオを敵視するマイや、郷に迫る巨大隕獣の噂など不安はあるが――
それでも、クロトはクレミノ郷に居てよかったと実感するのだった。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二巻に続く