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ミナモの月2 妖蛇蠢動

成人向け同人小説作品情報                 シリーズ情報
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『ミナモの月2 妖蛇蠢動』     文:葉原鉄  画:こけん


    郷に襲い来る未曾有の脅威に少年は立ち向かう――

    その裏で、《彼女》の身になにかが起こっていた。


______________________________
                                  → 一巻あらすじ

あらすじ

※二巻のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
※成人向けの内容が含まれます。未成年の方はご注意ください。

     *     *


移動娼館《虹の館》を訪れた男の物語は続く。
娼婦たちは、ときに口を挟みながら、彼の過去に聞き入った。

覡童クロト、十五歳。
鎮守神ミナモに仕える覡童として彼女に精を捧げ
ひとりの少年として彼女に想いを寄せ、
郷を守るアキレスユニット装着者として熟練の戦士ネオに憧れ、
幼なじみのマイや悪友カンジと触れあいながら、
青春を満喫する健やかな日々を送っていた――

超弩級隕獣テュポーンが現れるまでは。

巨大な隕獣の接近によって臨戦態勢に入るクレミノ郷。
慌ただしい空気のなか、クロトは無神経な言動でマイを激怒させる。
その後、彼女が消えてしまうなどとは考えもしなかった。
マイを捜す間もなく、テュポーンの眷属ピュトンとヒュドラの大群が郷に襲い来る。
クロトは不可避の事態で仲間を死なせ、敵を郷に招き入れてしまった。
ようやく郷になじめたと思っていたのに――すべてを失ってしまうのだろうか。
この郷を守りたかったのに。第二の故郷であるクレミノ郷を。
ミナモにそう打ち明ける少年をあざ笑うように、山岳のごときテュポーンが到来する。
あまりに巨大。郷を一息で押しつぶせるほどに。
アキレスユニットの秘められた力を全解放したネオですら、健闘虚しく打ち倒される。
失意と絶望に暮れた人々の頭上に、輝くものがあった。
クレミノ鎮守、千手羅刹姫命――ミナモ。
彼女は隕獣メデューサとしての力を使い、テュポーンと拮抗する。
だが彼女本来の力はすでに失われており、刻々と全身が朽ちていく。
それでも彼女は守ろうとしていた。クロトの守りたかったクレミノ郷を。
クロトも彼女を助けるため、ネオとおなじくアキレスの力を全解放。
ふたりの連携により、ついにテュポーンは崩れ落ちた。
勝利の歓声に郷が沸く。ふたたび平和が訪れたのだと、だれもが思った。

だが、テュポーンの死骸から傷つき汚れたマイが発見されるや、状況は一変した。

テュポーン戦を生き延びたネオは、目覚めてすぐに捕らえられた。
マイ失踪の元凶は彼だった。
クロトの担当区で起きた不祥事も、彼が裏で糸を引いていた。
飄々とした笑顔の下で、彼はつねにクロトを警戒していた。
自分を越えるアキレス装着者になるのではないかと。
だから彼を失墜させるために細工をして、
それを目撃したマイをピュトンの群れに放り出した。
不幸中の幸いか、マイは殺されることなくテュポーンに取り込まれるだけで済んだ。
しかしネオの罪科は見過ごされることなく、罪人としてマイに両目を潰された。
クロトはその光景から逃げ出してしまう。
信じていた兄貴分の裏切りにも、マイの変貌にも耐えられなかった。

だが、事実はさらに残酷なものであった。
カンジがテュポーンの死骸からマイとともに見つけたビデオデータ。
そこに彼女が明かさなかった秘密が収められていた。
ネオが彼女を差し出したのは隕獣でなく、薄汚れた無法者であった。
凌辱され、純潔を奪われるマイの姿が、スクリーンに映し出される。
懸命に強がっても虚勢と笑われ、クロトへの恋心すら無遠慮に汚されていく――
その果てに、男たちは突如押しよせたピュトンの群れに喰い殺された。
マイもまた死を覚悟したが、そうして楽になることすら許されない。
彼女は苗床として隕獣の体液を注ぎ込まれ、
ピュトンの王たるテュポーンの体内に取り込まれてしまう。
そこで彼女は見た。クロトとミナモが心を通わせ、テュポーンと戦う様を。
なぜ自分でなく、隕獣のミナモがクロトと繋がっているのかと慟哭しながら。

すべてを知ったクロトは決意を新たにした。
これ以上、だれも犠牲にしたくない。
ミナモの守ってくれた郷を、自分も守りたい。
そのために、新たな力《ハーキュリーユニット》の被験者となろう。
たとえそれがどんなに危険な力であろうとも。
まっすぐに育った少年への愛しさに、ミナモは嗚咽を漏らす。
人の腕があれば彼を抱きしめてやりたかった――ドア越しにそう伝えながら。



                                         三巻に続く

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葉原鉄

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